とある港町にひっそりと佇む HOTEL『藍色飯店』。
人気の老舗ホテルだったが、創業百年を迎えた年に何の前触れもなく廃業することに。
しかし、取り壊されることも生まれ変わることもなく、今もこの港町に佇み続けている。
「藍色飯店」は時間を忘れたホテル。館内は白昼のようでもあり、真夜中のようでもある。
宿泊客自身も時を忘れるような極上の滞在を楽しむことができる。
そんな噂が囁かれはじめた二〇二一年秋、『藍色飯店』の灯りが再びともる。
日々仕事や家事に追われるあなたは、そんな誘い文句に導かれホテルにチェックインすることに。
手には差出人不明の招待状を握りしめて。
ロビーには異世界に迷いこんだような異様な空気が流れていた。
「ここ藍色飯店では、時刻のわかるものは全てお預けください。
『藍色飯店』での過ごし方は自由。館内を散策される際はまずフロントまで。」
そう言われ自室に荷物を置き、わずかな休息を過ごした。
空腹の身体に染みこむ魯肉飯(ルーローハン)は噂通りの絶品だった。
どのくらいの時が過ぎたのかわからずロビーにある時計を見るも、その針はピクリとも動いていない。
館内を散策しようとフロントに向かうと、
そこには “時を忘れた部屋を巡る旅” への切符が用意されていたーー。
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