皆さんにはホテルという場所にどんな思い出がありますか?
幼い記憶の中にいる若かりし父と母の元気な姿、
遠くの国へ旅した時の異国特有の香りと湿度、
愛する人と永遠を誓い合ったあの部屋。
チェックインをして、夜を過ごして、また旅に出る。その繰り返しの中で、ホテルには人々の記憶が蓄積しているように感じます。
『雨と花束』の主人公はモーテルに長年勤めるとある男。皆さんがそうであるように、彼にとっても幾多の出会いと別れがこの地であったようです。
その記憶は霧雨のように朧げだけど、ふとした瞬間、走馬灯のように蘇る。
死期が近づいた彼は、記憶と再会するために、失われた「あの夜」を作り出します。そして彼のことを忘れてしまった大切な人たちと、もう一度その世界を旅します。
そう、あなたと共に。
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